おはこん失礼。ひろいです。
アパレルの現場より、繁忙期と言われる1月から2月の状況を
簡単ではありますがご説明しようと思います。
どの業界でもままある繁忙期。アパレルの製造の方ではどうなっているかというと
※日本製の工場に限って
1.サンプル作成
1月(正確には12月から)は、1月にあるパリコレクションや国内の展示会に向けてのサンプルの制作が多くなります。
とくにコレクションが海外というメーカーさんは直前までかかって、数着は自身が飛行機で移動と同時に持ち込む。なんてのも少なくありません。
国内の展示会も同様に ブランドさんにもよりますが、1回の展示会で30から100デザインくらいを展開するところが多く
1デザインあたり、色の展開が数色あるのが普通なので
合計枚数は30デザインとしても100着ほど。100デザインもあれば300着になります。
この数量を1月の頭から末くらいまでに現場ではこなしていくことになります。
当然ながら工場によって出来る商品は異なりますので、1ブランドの展示会デザイン全てを1工場でやることは稀ですが、例えばシャツ専門の工場だとしても数社~数十社のサンプル制作を受ければ、1ブランドの展示会数量分くらいはこなしています。
サンプルの制作で大変なところは、すべて見本がないものを1枚ずつ考えながら制作しなければならないところです。
量産の制作はそれこそサンプルがあるので お手本通りに かつ 数量があるので生産しながら少なからずペースUPしていきます。それと比べると生産性は非常に悪いのです。
そのため量産では3000円くらいで縫えるシャツでも、サンプル時はサンプル費用として10000円くらいかかるようになります。
シャツを90枚作るだけで 900000円になるわけです。
ただ以前の記事でも述べたようにサンプルは量産時のお手本となるものでなければいけませんので、サンプル費用は決して高くないです。
展示会や事前の撮影取りなど踏まえ、遅れも基本的に許されないのがサンプルであり、サンプルを制作することで工場は量産の予約をとっているようなものですので 大事な1月の仕事です。
2.量産(SS 春夏物の生産)
これも12月から動き出しは始まっていますが、1月には店頭に春物が並んでいるのは 買い物をされる方ならお分かりかと思います。
服はシーズン性の高いものです。かつファッションは他人と違いをどのように見せるかや、先端のものを着ているかなどで その人の感度が測られるものです。
それゆえに春でもない くっそ寒い時期から春物を展開します。店舗自体も感度を高め くるお客さんもそういう人を求めるので、早い時期から商品は動かすに越したことはないのです。
※最近はセールもやたら早いですしね。。。
なので12月から現場には生地やボタンなどの資材が届き出し、裁断工程を進めて1月から納品を進めていきます。
このSS(春夏)物の生産時期は3月末までは最低限続きます。
そうこうしてるうちに盛夏展示会も迫って来るという恐怖。
量産の怖いところは、これまた納期もあるなかで生地などの材料が遅れてくることが多々あることです。ただでさえスケジュールぎりぎりの予定を組んでいるのに、ズレが生じると別のものを先行してすすめることになり(現場は作らなければお金にならないので、何もしない日は休日意外ありえません)いざ遅れてきたものが入ってきても、その納期はずらすことができないとかメーカーさんに言われるので、かなりグッチャリするのがこのシーズンです。
3.確定申告の準備
これは経営をされてる人なら分かるので割愛。笑
と、こんな感じがアパレルの春夏向きシーズンの繁忙期です。
どの業界もありますが、こういう時は踏ん張りどころです。
僕ら現場側の対応
当然毎年同じようにやってくるのに何も手を打たないような人はいないと思います。
現場はいろいろ手はうっているのです。仕事相手がいることなので全てが対応してもらえるものではありませんが。
僕の知っている範囲なので一例です。
1.投入時期を早めてもらう
今回の繁忙期の前に、若干の閑散期があります。11月から12月の仕込み時期です。
この時期はいわゆるメーカーさんの冬物の販売時期であり、次の展示会や量産に向けての準備期間なので、工場としては追加生産などをメインにこなしているので仕事量は落ち着いています
※ここで大型の休みをとる現場さんも多いです。
この時期に1月から納品する量産を前倒しで進行させてもらうことです。
これができると仕事の分散ができて、バランスが取れます。サンプルは企画の時間も必要なので早めることは難しいので、生産が決まっているものを早めに着手する。
簡単に聞こえますが、メーカーサイドからすると資金が前倒しで必要になるので体力がないメーカーさんだと厳しいです。
商社などで月の成績が振るわない担当さんが相手でも厳しいです。が、これだけでだいぶ変わります。
2.仕事を工場仲間で分散させる
これは本来逆に手間がかかることがあるので1が難しい時に取る方法です。
本来は量産はサンプルを制作した現場で作るのがベストです。工程等を覚えているのでスムーズなため です。ですが、繁忙期のキャパオーバーはブラック企業のレベルを軽く突破してくる労働時間が発生します。こうなると体壊したりで生産効率もクオリティも落ちますので、そういう時は事前から協力を別現場に仰いでおきます。
具体的にはこう。
量産で予定がきているもの、サンプルの制作予定を立てて。圧倒的に時間が足りない場合は
量産の方から別の現場に仕事を依頼していきます。この時当然ですが先んじて仕様書などをもとに対応できるものか クオリティは落とさずに縫えるか などをチェックしておくことでスムーズです。当然メーカー側にも連絡を入れておきます
『キャパが超えていて希望納期に合わせるために協力工場に縫製をしてもらいます。クオリティの確認用に先上げで1枚提出するのでチェックお願いします』
と言っておけばスムーズです。
サンプルであれば サンプル専門の現場と付き合いを持っておくことが大切です。専門ゆえに量産に邪魔されずサンプルのみを対応しているので納期・クオリティ共に高く仕上がってきます。が注意なのは、量産を前提としているサンプルであれば そのクオリティを自社で再現できるのかを確認することです。
あとサンプル現場は割高です。そこもメーカーさんに相談の元決めましょう。
当然、管理する手間は増えますが、毎日0時超える残業するよりよっぽど良いです。
3.断る
これは最終手段です。ですが、先行して自社の状況を掴み1をメーカーへ依頼しては断られたとして。協力工場もキャパがござらん。
こうなった場合は 残念ですが仕事をお断りするしかありません。
それもできるだけ早くに依頼主さんへ連絡しましょう。
自社では対応むりでも、相手側で探してもらって問題なく世にでれば誰も損しないのでOKです。
もちろん一度受けたものをお断りするので、いくら誠心誠意あやまって断っても印象がイイわけはありません。が、ほっといて問題起こして迷惑かけるよりよほど良いです。
経験値のあるメーカーさんなら分かってくれますし、早めであるならむしろ感謝されることもあります。
むしろそれで仕事がなくなるような付き合いなら取引ない方がいい場合も多いです。
と、こんな感じがアパレルの現場の繁忙期です。
意外と服作りの現場のことは知られていないので ネタのひとつや 知っておいてもらえるとより服が好きになってもらえるかもなので書きました。
乱筆しつれい。ではまた。