ひろいの徒然ブログ

アパレル生産管理自営の日々や子育て

【アパレル生産が伝えるジーンズの値段の謎】お仕事の徒然

おはこん失礼、ひろいです。

今回はデニムについて(ジーンズ)

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おそらくほとんどの人が持っているデニムパンツ。

アメリカの労働者が使用していた実用性が、いまやファッションにおいても必須のアイテムのひとつとなっています。どのアパレルブランドでも取り扱いをするくらいに地位を確立しているデニムパンツ。

 

お値段もピンキリですよね。

安くてイイものが増えているので、値段が高いものはファッション感度が高い若い人たちに敬遠されがちになってしまっている部分もあります。

僕の現場ではデニムも外注さんに依頼して本格的な縫製でも対応していますので、高いものと値頃なものでは何がどう違うのかをまとめてみました。デニムについては多くまとめられていますが、高価なものと手頃なものの差を見るものは以外に少なかったので。

デザインものになるとわかりづらいので

ストレートタイプで考えます。

あとヴィンテージではなく現行のブランドさんの商品での違いとしてお読みください。

 

決して高いから良いものというわけではなく、シーンによって使い分けたり

高いものがなぜ高いのか、その理由が伝わればいいなあと思います。

 

 

ではデニムが高いものと値頃なものに分かれる要因

見て行きまっしょい。これで見分けることもできますよ

 

①生地の違い

・セルビッジであるかどうか

高価なものはまず生地のホツレを防止するために生地にミミがついてます。

シャトル織機という旧式織機でしか編めません。

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セルビッジ 赤耳

この耳が付いているものは 生地の幅が72cmくらい

耳がないものは156cmくらいと 倍の差があります。この時点で生地が2倍必要になるので生地コストがかかります。かつ旧式の織機のため台数も少なく生産スピードも遅いときます。生産効率上もコストが上がってきます。

ですがこのシャトル織機で生産されたデニムは生地の表面に凹凸ができて独特の色味を出すので、こだわるブランドさんはそこを外さないポイントです。

 

・オンス数

生地の厚さや重さです。当然厚手であればそれだけ原料の糸や染料が多く必要になりますので高価になります。生地自体の強度も増しますので、もともと労働用であるというところからも薄手より厚手が高価なことがほとんどです

※シルクデニムなどの素材変更などは特殊なのでまた別です

・綿100パーセントであること

ここはこだわりでもあるので微妙なところですが、ストレッチが入っているデニムも多く販売されています。メリットは履き心地が最初から良くなること。デメリットは縫製面では生地の伸び縮みがあるのでクオリティが落ちやすい、あとは型崩れが多いこと。

綿100%のものは伸びません。なので履く人の動きや洗い方でその人にか出せないデザインになっていくのが魅力で素材にこだわることがコストUPに繋がることもあります。

 

②縫製や加工

ここも当然ながら大きく関わってきます。

・SPI(1インチ間の運針 ステッチ)の細かさ

この運針数が細かいほど強度もあがります。なので極力丈夫に作る場合は運針を細かくしますが、その分ミシンを動かす時間が長くなりコストもあがります。値頃なものは運針が高価なものより大きく荒くなっていると思います。

もしお手持ちに3万のものと5000円のものをお持ちでしたら測ってみるとわかります。

 

・環縫いを使用しているか

パンツでいうとベルト裏や足の側面側の裏をみてみるとわかり易いです。

本縫いは一本線ですが、環縫いはチェーンのようになっています。

デザイン的に求められることもありますが、この縫製方法は糸の切れやすさに関わっています。環縫いのほうがテンション(引っ張る力)に強いのでジーンズにはこちらを使用するほうが基本です。このあたりもさすが作業服からのファッション、実用性が見受けられます。

このミシンもなかなか持っている数や台数が少なく、生産効率からして本縫いよりコストがかかることが多いです。

※大量生産を前提としている工場は2本環縫いのほうが縫うスピードは上がるので別ですが

ジーンズの後加工やリベットなどの材料

まずはリベットやボタンなどがどのようなものを使用しているか。です。

フロントの始末がファスナーより ボタンフライのほうが高価です。

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ボタンフライ

リベットに関してはYKKさんが多いですが、良く分からない安物もありますし、大きさも素材も関係します。

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リベットやアタリ

プラス、後加工しているものでも加工の仕方でコストも変わります。

よくあるデニムの使用感をだすアタリ加工は、現在はレーザー加工で自動でもできます。

ですが高価なものは紙やすりをつかって手作業でつけられています。そのため1点ずつ微妙に顔が変わるのですね。当然手作業の方が高価になります。

 

VOGUEさんでもおもしろい生地ありましたのでリンクも

プロが明かす、格安/高級デニムの見分け方。|定番ファッショントレンド(流行・モード)|VOGUE JAPAN

 

 

と、大きくわかりやすいところで今回はまとめました。

ジーンズを買う際に 無駄に高いものを選ばずに、質のいいものを選んでもらえる参考にでもなれば これ幸いです。

 

 

 

余談

アパレルのムダを削りたく、生地の余りや 古着 リメイクをうちでは対応するようにしています。

アパレル関連でなくてもできれば、いらない服はリサイクルに回してもらえるとありがたい限りです。