ひろいの徒然ブログ

アパレル生産管理自営の日々や子育て

【アパレル生産管理が語る 工場の本音】2 お付き合いしたいお客さまとは?

おはこん失礼。ひろいです。

今回は現場の本音 二つ目。工場が継続して仕事をしたいメーカーさんやブランドさんについて語ります。

第一弾は小ロット生産が嫌な理由を書きました。

 

www.hiroitoshoten.work

 今回は付き合っていきたいお客様とはどんなところなのか、昨今縮小傾向にある国内縫製工場の気持ちを書きますが、この内容が全部クリア出来るところは現場からすると希少なメーカーになります。ほとんど無いといっても過言ではありません。逆に言うとこれらを出来るお相手は長く現場と付き合うことができて生産の流れも安定させることに繋がると信じています。

まずは下記に主要なことを箇条書します。

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1.コストの相談を出来る

2.仕様の変更が可能

3.連絡が取りやすく かつ 返答が早い

4.継続して生産をできる(閑散期を作らせない)

5.投げっぱなしにしない

6.サンプルから量産までの流れで取り組める

7.おまけ

 

他も思いつくことは人それぞれあると思いますが、うちではこれを重視しています。

当然メーカーサイドの求めることもありますので、逆もしかり。となります。

では一つずつ解説します。

 

1.コストの相談ができる

最も重要です。当たり前ですが赤字をだすコストで請け負うことは単発ではありえません。あとの項目にも関わってきますが、正直コストを決定してから仕事を持ち込まれるメーカーさんは仕様のことや縫製に関わる経費などの考慮がない場合が多いので、ここの対応ができないところとは正直お取引はしたいと思いません。

※商社や企画会社に多いです。素材やその他先にメーカーに提示してから持ち込まれるので あとから調整できるところがない状態になって話が来ること多数です。

 

2.仕様の変更が可能

1にも関連します。縫製コストが合わない場合は当然あります。その商品の価値はある程度ブランドさんで予測されるので、このデザインだとこのくらいが妥当だと思うことは当然あると思います。特にデザインの個性で売ってない場合や オリジナリティが低い場合は致し方ないです。いわゆる売れ線のものを作ることは必要なことなのは分かります。

その場合は商品の見栄えは変わらないように、ディティールの変更などでコストカットを提案します。(逆もしかりです。コストがもっとかけれるからクオリティあげたい等は言われて嬉しいことです)

たとえばシャツの脇やアームホールの仕様が『折り伏せ』始末を『ロック片倒し』に変更すれば作業効率はUPしますので時間がカットできてコストを下げることができます。

その分商品としての強度は落ちます。こういった事をお互い相談できる相手はお仕事を取り組みやすいです。

サンプル通りでないとダメだ。のような状態で単発で持ち込まれる方は正直敬遠します。

 

3.連絡が取りやすくかつ返答が早い

これも重要です。昨今電話をいやがる方も増えてきています。以前はFAX中心でしたがいまはメール・LINEなどを使用して仕様書やパターンのデータをやりとりできる環境が整っています。ですが、書面やデータだけで作れるものではないのがファッションである服です。毎回同じものを生産するのであれば回数をこなせばメール一つで生産の流れは取れますが、アパレルは毎シーズンデザインや素材が変わります。

なので現場も基本的には毎回電話で確認を取るのが普通です。そういう時に やたらと連絡が繋がらない。つながってもその場で確認が取れずに、折り返しも遅い。ジャッジが遅れがち。この手の相手は徐々に敬遠するようになります。

確認に時間がかかるのは仕方がないと言われる方も多いですが、それに伴って起きる自称を理解されているのであれば問題ないです(が、ほとんどの場合理解されていません)

工場は稼働させないとお金を生み出さない場所ということを念頭にまずおいてください。作業が止まってる間は 売上0円です。なのである程度待っても連絡が来なければ別の作業にかかります。専属工場ならそれでもいいですが、協力工場であれば他のお客さんの仕事に取り掛かる場合もあります。そうなると場合によっては納期のズレが生じたりコストの合わない商品になったりします。

こういう点からも確認作業や連絡はスムーズでないとだめです。僕は生産管理として連絡の優先度は

工場>店舗

とメーカー時代から仕込まれてきました。現場の確認はすぐ終わることがほとんどなので、話が長くなる店舗さんやメーカーサイドを後に回しているほうがリスクが少ないということです。

あと工場は朝が早く、夜もそこそこ遅くまで稼働しています。急ぎの対応商品などが投入されている場合は営業時間外でも連絡を取れるようにしてあげてください。

 

4.継続して生産ができる

これはなかなか現状難しい問題だと思いますが、理想を書きます。

アパレルにはシーズン性があるので繁忙期と比較的おちついた閑散期があります。工場も同じくあります。かといって経費は繁忙期だけ高くて 閑散期は安いわけではありません。

ぶっちゃけていいますと閑散期も仕事を入れることができるメーカーさんを優先的に対応します。繁忙期だけの生産以来しか来ない場合は前者と比べると提示する見積もりは高くなります。心苦しいですが当然です。何故か。

工場が毎月300万円分の加工費を水揚げしないといけないとしたら、それを12ヶ月続けないといけません。これに関してはまた別で書きますが、研修生に頼っている工場が多いことや、時給の低さから閑散期は縫製師さんに休んでいいよ というわけにはいかないのです。繁忙期だけ人を増やしたり閑散期だけ人を減らして 繁忙期に3ヶ月分の売り上げを上げるなんてことは国内の縫製業では不可能に等しいです。

その理由から、閑散期でも安定して仕事の供給がある。または。生産時期を意図的にフラットにすることができるお客さんとは仕事を続けたいと思うのは自然なことです。

5.投げっぱなしにしない

まあ当たり前のことですが、仕事を投入したらあとは納期までほっとけばいいや。という相手は敬遠します。当然発注書に納期は書いてありますし、そこまでに仕上げるのが当たり前ですが、要所要所で確認をいれてくる相手の方が気持ちが引き締まりますし管理漏れも減ります。

発注書いれて 材料は直送して 出荷連絡の一つもしない相手の場合。工場は毎日のように荷物がくるので 見落としが起きやすいと思って丁度いいです。生地や材料を送ったら送りましたから確認してくださいね。の一言が大切です。

6.サンプルから量産の流れで取り組める

これは今まで上げてきたもので、コストや仕様に関わりが深いです。

まずサンプルを現場で作成することで正確なコストがでます。問題点があればその時点で潰しておくこともできますね。これが展示会や撮影等の都合もあるので、量産と別工場やサンプル屋さんを使っている場合はそのサンプルを量産する現場にわたして事前に確認をしておかないと後々めんどくさいことに繋がります。

たとえばパイピング処理。

サンプルは1着ずつ作るので事前に折り加工をしたテープが使用されやすいですが、量産工場は手持ちのアタッチメントをつかって自動でテープを織りながら縫うのが殆どです(ラッパとか言いますね)。確認してないと量産資材を手配する際に 折り加工いれたテープを準備してしまい使えなくて無駄になってること結構ありますよ。

 

7.(おまけとして)設備投資

工場が設備が古いままなのは何故か、簡単です。利益がすくないから設備投資に回せないだけのことです。仮にいままでミシンがないから出来なかったことをメーカーがやりたい場合、持っている工場をさがすのもひとつですが、余裕があればミシンを買って既存の工場に貸し出すのも手です。こうすることで一軒の工場に仕事を集約できることにもなります。これは現状メーカーさんも苦しいので現実的には厳しいとは思いますけどね。

 

 

ざっと説明させていただきましたが、これだけ見るとそんなに難しくない当たり前のことばっかりやん?と思われるかもしれませんが、メーカー側も資金面の問題や、人材の問題があるのですべてクリアできることは少ないです。そこは工場も理解しています。

 

こういった項目があってある程度現場もメーカーを選定していることが伝われば良いと思って書きました。工場を開拓される際の参考にでもなればこれ幸い。

もし生産でお困りでしたら気軽に相談でもしてください。

TwitterやってますのでDMも開けておきます。

 

それではまた。