ひろいの徒然ブログ

アパレル生産管理自営の日々や子育て

【アパレル生産管理が語る 工場の在るべき姿とは】メーカー視点も交える

おはこん失礼。ひろいです。

バレンタインデーですね、チョコもらってますか?希望と絶望の交錯するバレンタインデー、良き日になっていると良いです。

 

さていつもは工場側の人間として現場サイドよりのことを書く事が多いのですが、最近工場各位のクオリティに疑問を感じることが多くなってきています。

うちは下請けさんも協力工場さんも 内職さんもお願いしますので、そのあたりも結構詳しいです。せっかくなのでメーカーさんやお客様目線で工場としてどうあるべきか書き残しておこうと思います。自分への戒めも含めて、ですね。

 

余談ですが本日 ヒルナンデス という番組でnutteさんという縫製マッチングサービスを行っている会社(サイトかな)の内容が炎上してますね。

matomame.jp

これにツイートなども上がってます。

あなただけの縫製工場「nutte(ヌッテ)」 | あなたの「縫って!」を叶えます

nutteさんのHPはこちら。

 

これに関して意見は様々だと思いますが、今回の内容にも少し触る部分があるので個人の意見をかいておきますと

・根本的に内職レベルの職人さんも存在する

・フリマで販売するような採算度外視の職人(趣味人)も存在する

・本気の職人ならここに登録するメリットはすくない。

とは思います。クオリティ含め服を作るということは、技術や知識が必要です。番組にもあったように 

『この服と同じものを制作したい』

なんてのは大元のブランドさんからすればデザイン権の問題にもなります。個人の趣味で制作している分には問題ないと思いますが、商売が発生することとnutteさんもマージンとってることを踏まえると、問題ですね。

もちろんテレビなので分かりやすく面白くキャッチーに制作されていると思いますが、nutteさんサイドに番組内容の説明がされていたならば正直。。。フォローし難い案件だとは思う部分もあります。

 

 

 

さて本題に戻ります。今回のテーマは

【工場の在るべき姿】

これを考えます。

以下上げていくものをオールクリアできることが最高の工場だと僕は考えます。

①適正なコストを提示できる

②納期を守る

③できないこと ものを理解している

④縫製のクオリティが高い(指導者・管理者がしっかりしていいる)

⑤依頼主と同じ目線で対等に話ができる

まあ上げればキリがなくなりますので、大事なこと5つあげました。

 

順番に見ていきますね。対するメーカーさんは仕事の出し方や進め方 コストも理解のあるメーカーとして、今回は現場側に問題がある前提で話します。

①適正なコストを提示できる

これは工場の経営に直結しますので大事なことです。上のnutteさんの炎上でもわかるように安ければいい 高ければいいという単純なものではありません。

商品を縫う際にかかる時間を管理し、それを基準に工場の運営、設備の維持に関わる部分も計算した利益を含めたコストを提示できることが大切です。

仮に1時間で出来るものを3000円でお客さんに提示したとします。

ではなぜ3000円なのか という問いに応えることが出来れば良いのです。適当な値付けする工場は信用できないです。

②納期を守る

これは工場が継続して仕事を獲得することにおいて最も重要です。

日本国内の工場はキャパオーバー気味です。けども依頼のくる生産数量はそこまでガタ落ちしていない工場さんが多いと思います。

よく聞くのが、

『やってみたら思ったより時間が掛かって縫いがあがらない』

『トラブルが起きて遅れる』

です。これを納期直前まで連絡しないことありませんか?

この発言がくせづいてる工場さんはご自身注意してください。当然のこととして縫製は人の行う工程がほとんどの作業ですので事故やトラブルは起こり得ます。

それは理解できますし、おきたトラブルはお客さんも含めてみんなで解決策を練りたいもの。

やってみたら思ったより時間が。。。。プロですよね?て返されます。

トラブルが。。。。直前に言われても?となります。

もちろん不幸ごとや天災など突発的なものは仕方なしです。けどメーカーさんにはその先の卸先さんがいて、小売店ではお客さんが待っています。予定の日に商品がなければ買ってもらえない、最悪この店では買わないでおこう このブランドは買うのやめよう。と自社は当然として先々の人まで信用を失う可能性があることを想像してください。

スケジュール管理がしっかり出来て、無理なキャパ取りはしない。問題は事前に早めに相談する。これが出来ているだけで相当価値ある工場になります。無理なもんは無理だと開き直るようなこと言ってませんか??

③できないこと ものを理解している

なんでもかんでも受けてしまう現場があります。縫製という意味で商品を形にすることはできても ただ縫えているだけでクオリティがとんでもない。聞く話です。

良い現場は自社でできることを理解しているものです。

例えば 生地の厚みはここまでしか縫えない。逆に薄すぎるものはできないとか

この納期は自社のペースだと絶対間に合わせることができないとか

このクオリティは縫製師のレベルからクリアできない

などです。

このできないことにNOとはっきり言える工場は優秀です。

④縫製のクオリティが高い

この項目は難易度の話ではなく

その工場で縫えるものが シャツや軽衣料までだとして そのシャツはキレイに縫えることができることを指してます。

別にスーツが縫えるとか ダウンジャケットが縫えるとではなく(それはそれで大きなポイントにはなりますが)自社で縫える最大限のものを、最大限に近いレベルで安定継続して縫い上げることができることが 良い工場です。

⑤依頼主と同じ目線で対等に話ができる

これは工場の社長や 生産管理さんがメーカーなどの顧客さんと話をする際に注意して欲しいポイントです。

コスト・納期・クオリティなど工場の要望だけ押し付けているだけではダメだということです。未だにいますよね?

納期遅れてるのに『仕方ない、あがらないんだから』

品質悪いのに『うちの縫製だとこんなもんだ』

とか言う人。ダメですよそういうの。

話し合った上でや相談した上で合わない話なら断ればいいですが、やりかかった場合は受けた責任もありますし、クオリティはメーカーさんが販売した時にメーカーさんの信用も落とすことになります。

相手のことも考えて、実現が難しそうなところは折衷案を模索して、そして進行する。

意外にこれもできない工場さん多いです。

 

これら5つをクリアしているだけで正直仕事はいくらでも取れる工場さんになると思います。逆に言うとこれだけです。できそうですよね。

 

そして最後にメーカーサイドへのお願いは、ここまでのことをしている工場には適正な工賃をしっかり払うこと。問題がおきても突き放さずに一緒に解決すること。

すぐ買取だ値引きだ言うてたらあきませんよ?

しっかりしている工場を活かすも殺すもメーカーさん次第の部分は未だ大きいです。

工場がメーカー化し始めたらコスト崩壊してもっときつくなりますし、やはり現場を守り共存していく姿勢をお互いに持って業界を盛り上げて行きたいですね。