おはこん失礼ひろいです。
今回はそんなに長いわけでも多いわけでもない自分の経験値からで申し訳ないところはありますが
工場や縫製に携わる技術者さんたちのコストがどうしても安くなっていることを実感しているので、その価値の上げ方としてこんな方法はどうだろうを語りたいと思います。提案です。断言ではないですが、この日本の縫製業のピンチを切り抜けていくために。
ただ安い安いと叫んでも、価値がないからだとなればそこまでの話...。
もし他にもアイディアがあれば教えて欲しいし発信して欲しい。そういった願いも込めて書きます。
現場の価値をあげる項目1~7です。
1.クオリティ
2.価格
3.根拠ある見積もり
4.こだわりを持ち発信する
5.納期を守る
6.対話をする
7.ブランディングしていく
1.クオリティ
まずこれは登竜門ですよね。たとえばスーツを作るとして、A社で作ったものとB社で作ったもの C社で作ったものを見比べた際に
Aが縫製の品質・シルエットが文句なし
BがA社には劣るけど まあ許せる範囲
Cはもうダメだ、売り出せない
だとしたら当然価値は
A>B>C になるのは当然ですよね。
とりあえずこのAを目指すことは必須です。価格や現場レベルは関与しますが高みを目指すことは忘れないで欲しいです。研修生が多い縫製現場でも意志の疎通をつねに図っていくこと。
2.価格
お客様側は当然高いより安いものを好みます。NOT安かろう悪かろうです。
なので無駄はカットして 極力生産にかかるコストカットを継続することはとても大事なことになります。
縫製であれば、手を止める時間を効率的に減らすこともそうですし、1日のスケジュールを決めて動くことも大切です。こまめに工場で縫製の状況をみて仕事を組み替える調整力もあれば効率化が図れます。
かといってクオリティを落とす段階にまで落とし込むことは必要なしです。
あくまでお客様がもとめるクオリティ内で現場の利益を含めてベストで出していくこと。無駄に高くしても見破られます。
3.根拠のある見積もり
時間に追われている現場サイドではとても難しいかもしれませんが、できる工場は管理者がストップウォッチもってます。
服を制作するのであれば生地を裁断しはじめて縫い上がるまでの時間を計測、そこから利益の生まれる時間あたりの単価をきめて、見積に根拠を残すこと。当たり前ですが休憩時間などは含まないです。手をとめたら時計も止めます。
まともな工場が出した見積で高いといわれて、他社へ流れた場合。ほぼあとあとトラブルになるので、そのときは ざまぁ とでも思って気楽に構えてください。管理した上での見積には価値があります。
だいたいこれはこれくらいだ というのは長年の付き合いのある相手しか理解されないので、高いにはこういう根拠があって安いものにはこういう理由がある。説明できますかね??
4.こだわりを持ちそれを発信する
こだわりを持つことはとても大切です。ですが理解されなければそのこだわりはなんの価値もありません。
仮にブランドさんがこの生地がイングランドのウールで編まれてて、縫製もあっちで仕上げてきたもんなんだよ!
と言われても、ネームバリューのないブランドの服は「へー、そうなんだ。よさげだね、高いけど」で買って貰いづらい。
玄人が見れば分かる。それも一つですが、やはり分かってもらえるほうが価値はあがります。
縫製でもこの折伏せ縫いはこうやってるんだよとか、裁断時にはこうしてるんだよとか、こうすることで着る人にとって快適な状態になるんだとか。下手したら昨今メーカーの企画やデザイナーはわからない人も多いです(昔はデザイナーが縫製も出来る人多数だったけど今はちがうゆえです)。なので説明をする。これはとても大切です。
SNSでもいいですし、HPでも公演でもなんでも良いです。サンプル作成時に口頭でも良いでしょう。うちはここ拘ってるんだということをアピールしましょう。
こだわりは価値の源泉です、それが理解されて広がれば価値として固着することになります。
5.納期を守る
納期とは約束です。約束を交わせば契約です。無断で一方的に破ることはしてはいけないことです。
忙しいから、物理的に無理だから、こんな手間がかかるとは思ってなかった。色々あるのは理解できます。どうしようもない場合も確かにあります。
けど原因の5割以上は現場にもあります。それは肝に銘じてください。
無理なら受けない。遅れそうなら最初にや途中で説明して交渉する。なんとなくの付き合いでは受けない。何でもかんでもやろうとせず、自分のキャパシティと現場の状況を冷静に判断していけば不測の事態以外では遅れは防ぐことができます。
最後に金銭的に負担を強いられるのは工場や現場です。のパターンが大多数です。受ける事前では確約出来る条件で受けましょう。
不思議なことに企画の遅れや、材料や資材の遅れ、プリントや刺繍の加工の遅れと比べて、縫製の遅れにはシビアな人が多いです。ゆえにこちらもシビアでいいんです。
6.対話をする
仕様書やパターンで判断するだけでなく、相手のほうのこだわりや思い、ひいては要求されるクオリティレベル 自分だけでなく相手のことを理解しようと務める姿勢は持っておきましょう。
たしかに「何言ってんだこいつ」て人も存在します。それも対話すれば分かるので、人間性でお仕事が合わなく断ることもできます。
意外にこの部分抜け落ちているのが現場の癖だと思います。
お互い一方的な主張だけだと価値があるとは言い難いです。
7.ブランディングしていく
こだわりを持つことに派生しますが、現場の社長でも工場長でも、営業でも縫製師さんでも誰でもいいです。現場全体でもいいと思います。
この現場にはこういう人がいるからお願いしたいという明確な武器を作っていくことが大切です。
極端な例ですが、
この会社の工場長はJAZZが好きすぎる、メーカー側のテーマもバーでの品格に繋がるような服作りをしている。だからこの工場ならうちのブランドのイメージを大切に服を作ってくれるはずだ。
みたいに、縫製でない部分のキャラクターでも頼みたくなる価値はあると思います。実際メーカーさんのことが好きになれば現場も人なので贔屓に頑張りたくなることが結構あります。
振り屋さんでもそうです。この人は〇〇だから頼みたいんだよな。というものがあればそれは人の価値です。
縫製に関わる分野はアップデートがとても遅れています。
アパレルやファッションという分野は人気のある職種でありながら、やってることはとてもアナログです。その伝統を守ることも価値ですが、守るだけでは現状を変えることは困難です。
どうか多くの関わりを持ちやすくなっている時代なので、現場自体も変化を。
変わることを宣言し続けていければと願い、活動していきます。
ではまた。