ひろいの徒然ブログ

アパレル生産管理自営の日々や子育て

【アパレル生産管理が語る 本藍染JAPAN BLUE】天然染料の魅力と日本の職人の手間暇

おはこん失礼。ひろいです。

雨日和です。今回はツイッターでも上げたんですが藍染について語ろうと思います。

藍染といってもなんちゃってではなく、インディゴでもなく『本藍染め』です。

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経験が生み出すグラデーション 本藍染

 

僕のところで対応している染に関してはコストや時間・こだわりから数種類のパターンを提案できるようにしています。

コストが控えめな 草木染関連 や 泥染

通常の化学染料を使用する 反応染や直接染料を使用したり、ほかに硫化染もあります。あわせて洗い加工も対応してます(バイオやストーンウォッシュ等です)

その中でも今回紹介する本藍染めは一線を画しています。

 

うちの近所の染屋さんで対応してもらってますのでいろいろ紹介していきます。

 

1こだわり

2工程

3歴史

4天然藍について

5やれること・やれないこと

 

本当に詳しくは書籍や他所のHPでも紹介はあると思いますが、実際対応しているからこその観点も交えつつ以上5項目を語っていきます。

 

1.こだわり

A.天然100%であること。

藍は大地からの授かりもので、肥沃でなければ育たない。けれど正しく手間をかければすくすく育つ。耕し 育てる。天日で乾燥 発酵 藍建て。2年以上の時間をかけて美しい藍は季節を重ねて磨かれていきます。

B.天然灰汁醗酵建て。

藍を作ることは朝昼晩 毎日藍と対話をすること。藍の機嫌をうかがいながら慎重に。こちらの勝手な都合では染めさせてくれない。でも正しく手間をかければ答えてくれるもの。うちの工場さんでは徳島県の佐藤蒅(すくも)を使ってます。

C.素材へのこだわり。

天然100%を守るために 蒅(すくも)灰汁、消石灰、日本酒、麩(ふすま)という限られた素材のみを使用しています。

D.化学物質を一切使わない。

大量生産する技術ではなく、時間と労力をかける。上の素材のみのシンプルさで藍本来の色を引き出します。アトピーなど肌の弱い方に優しいです。

E.技術とノウハウ。

藍は色を重ねて色をだします。その年の藍の出来、染める日の状態によって微妙に表情がかわる。同じ青はひとつとしてできない一点ものです

 

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蒅(すくも)

2.工程

写真も添付します。画像で見ていただいてもわかりやすいと思います。

A.前処理。

不純物を洗い流し3時間以上流水してから染めます

B.手染。

長年の経験と感覚で1点ずつ染め上げます。ちょっとした加減で仕上がりが変わります。しっかり絞りあげることで藍が生地へ入り込み色の強度を上げていきます

C.手洗い。

目で確かめながら何時間も流し水をしながら水中の酵素も利用することで色の強度が格段に変わります

D.中干し。

決して急いで染めず数日にわたって染めることで色を落ち着かせて、藍はより糸に浸透し丈夫にしていきます。

E.後処理。

生地の特性を見極めながら余分な藍を落とし、色の冴えをだします。藍色を最高の状態にする大事な作業です。色落ち色移りの少ない藍染を目指しての作業

F.仕上がり。

藍は生き物、染終わり後でもまだ変化しやすい状況がつづきます。ですがそれも魅力です

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藍染工程

3.歴史

藍は人類最古の染料です。有史以前から人は藍をつかって染色をしてきました。また世界には多くの藍の種類があります。

日本に青【JAPAN BLUE】としてしられているのはタデ科の蓼藍(白花小上粉)です。日本では100日もかけて藍葉を発酵させた染料【蒅(すくも)】を堅木の灰汁で溶き、大きな釜で ふすま 石灰 灰汁 日本酒と発酵させその液中で何度も染め上げる『天然灰汁醗酵建藍染(てんねんあくはっこうだてあいぞめ)』という技法が、四季のある日本で、一年中藍染が出来るように考え出された 世界に類を見ない日本の染です。

この日本が誇る藍染は世界大戦じに食料増産のため蓼藍が禁止作物となります。蓼藍は一年草です。一度は1200年超えの歴史のある『日本の青』が消えかけました。このことを悲しんだ小さな藍屋の17代目佐藤平助が憲兵から逃れ 蓼藍の種を取り続けました。

4.天然藍について

この蓼藍は江戸時代の藍大市で『瑞一』という一級の藍屋に与えられる称号を独占し、他品種にくらべて現在の解析で2.3倍多くの有用成分を含むことがわかっています。防虫や防臭などにも効果が証明されています。

最近JAPAN BLUEが見直されています。ただ長いあいだ忘れられていたため

藍色をしたものであれば「本藍染め」「正藍染」「天然藍染」と表示されて販売されてしまっている現実があります。。。残念なことです。

5.やれること・やれないこと

藍は天然染料です。そのため天然繊維でないと染まりません。いわゆるポリエステルなどは染料が浸透固定しないので藍染には使用できません。

糸から染めることで、織物を藍糸を織り込んで制作したり、編み物もつくれます。織り物というところでデニム生地の製造もしています。

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藍染 糸を経糸に利用したセルビッジデニム生地

製品での染にも対応しています。ろうけつ染で柄を作ったり多様です。

このようにいろいろな可能性があります。

 

 

以上が5項目からなる 『本藍染め』の紹介になります。

エコロジーや環境問題などサステナブルの波がやっとファッション界にも出てきました。

ブランドさんによっては独自の個性でデザインに環境問題を落とし込むデザイナーも出てきています。そのデザインという選択肢のひとつに僕の勧める本藍染めの可能性を追加してもらうことができたなら、とても嬉しく思います。

 

ご興味あるかたはTwitterなどでも構いません。ご連絡ください。

ではまた。

 

画像提供 雅織工房 様